進路

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受験シーズン。頭の痛い言葉だ。 クラスの他の奴らは全員進路が決まっている。 俺、竜彦は馬鹿だった。 原因は親父だろう。 酒、寝る。起きればまた酒を飲む。俺が文句を言えば頭を殴る。 こんな生活が始まったのは、10年以上前。 お袋は急に居なくなった。それ以来だ。何故お袋が居なくなったのか?それを聞くと、親父は更に俺を殴る。 勉強をしようと思うと何かしら親父が邪魔をしてきた。 「何かしら」とはいったが、二文字で表せば「虐待」だ。 殴る場所が違うだけだ。 そんなこんなで成績はいつも1位だ。 …下からだが。   今日の二者面談で、何処の高校も無理だと担任から言われた。 担任が、面倒くさそうな顔をしながら、「一応言っとくか」というような感じで、 「お前、進路どうするんだ」 と言う。 その顔付きにムカついた俺は、教室を抜け出し、簿記室に向かった パソコンを起動し、ふざけ半分でGo○gleに、 「どんな奴でも入れる学校」 と書き、検索してみた。 これで出たらそこに入るかな… いや…出るわきゃねーか… と思っていたのだが…     「どんな奴でも入れる学校」1件中、1件表示-   「マジかよ!」 俺はHITするとは思っていなかったので、少しテンションがあがった。 そこには 「我が高校に入学試験は一切ございません」 「ご入学したいかたは、以下の番号にお電話下さい」 「ご入学に必要な書類を発送致します」 「詳しくはその書類をご覧になって下さい」 とだけ書いてあった。 入学試験がない。 それだけで俺は此処に入学することを決めた。         後から考えれば、早計だった。
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