晴天の霹靂

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時間は遡り、2人が出会う前の朝。 午前5時。 朝日は出て間もない。 夏というにはまだ優しい陽光がカーテンの隙間から差し込んでくる。 「んあ、ふぁーあ…」 何に起こされるわけでもなくヴェルガは自然と目を覚ました。 軽くあくびをしながらベッドから起き上がり、窓にかかるカーテンと窓を開けると、まだ顔を出したばかりの太陽が辺りを淡く照らしていた。 爽やかな風が部屋へと流れ込み、朝の澄んだ空気が肺一杯に満たされていく。 どうやら今日も晴れそうだ。 そんな事を思いながら自分の部屋を見渡す。 部屋の隅にある本棚、隣にあるデスク、窓際のベッドに大きなクローゼット。 必要最低限の家具達はどれもきれいに整頓されている。 その中で唯一制服だけが乱暴に床の上に脱ぎ捨てられていた。 そういや昨日は自主練で疲れてたから学校から帰ってきてすぐに寝たんだっけ。 眠けまなこで制服を片付け、そのまま隣のリビングへ向かう。 時間のせいかまだ行動している者も少なく、自分の部屋より広いリビングは普段より一層静かに感じられた。
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