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「それはこっちのセリフだよ。アンタこそなんでこんなとこで寝てたんだ?」
「私?私は帝国兵から逃げてきたんだよ?それでここに隠れていたんだね」
少女はまだ眠そうに目をこすっている。
こうやって改めて少女を眺めてみると、端正な顔立ちに白を基調とした服装もあって、まるで本当に人形のようだった。
一体何言ってんだ?まさかまだ寝呆けてるのか?
「ここはアシュトリア王国だぞ?帝国兵に追われるなんてことあるわけねーじゃねぇか」
「むぅ。何も嘘は言ってないんだよ。全部本当のことだもん」
少女は上目遣いでヴェルガを睨む。
「はぁ?何言ってんだ…?」
ヴェルガは呆れたようにため息をついた。
すると突然、
「しっ…」
何かを感じ取ったのか少女の顔つきが急に真剣なものへと変わる。
「…どうした?」
突然様子が変わった少女を怪訝に思ったヴェルガは声をひそめて問いかける。
すると少女は口元に人差し指を立てながら、
「あいつらが近くにいる。こんな所まで追いかけてくるなんてほんとしつこいんだよ…」
少女はうんざりしたようにそう呟くと、レンガの壁に身を隠しながら廃村の入り口の方を窺う。
「おい、どういう事か説明しろよ」
声をひそめて問い掛けながら、ヴェルガも少女が見つめる先に視線を向けた。
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