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「……っ!!」
そこには確かに2人の帝国兵がいた。
今は休戦中の為、帝国兵がこちらにいる事自体は珍しくない。
しかしこんなひと気のない廃村に彼らがいるという事実は、さっき彼女が言った事が全て真実だという十分な裏付けになった。
つまりこの少女は本当に帝国兵達から逃げてきた事になる。
「お前本当に…」
「見つけたぞー!!こっちだ!」
ヴェルガが少女に確認をとろうとした瞬間、割り込むように背後から大きな声が聞こえてきた。
振り返ってみるとそこには帝国兵がもう1人。
どうやら帝国兵達は手分けして彼女を探していたようで追っ手は2人だけではないらしい。
「走って!!」
少女はそう叫ぶと、いきなりヴェルガの手を引いて走りだした。
「ちょっ…!?なんで俺まで!!」
ヴェルガはされるがままに少女に引っ張られていく。
晴れ渡った朝の空にヴェルガの嘆きがこだました。
これが平凡な学生、ヴェルガ=クライブと謎の天才少女、ミリィ=ムーンリィトが出会った瞬間だった。
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