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ヴェルガとミリィは王都に向かって街道を歩いていた。
太陽の位置はさっきより高い。
時間は午前8時位だろうか、朝の光は強くも弱くもなく心地よい空気を作り出している。
「なあミリィ…ミリィが追われているのは分かったけど一体何をやったんだ?」
ヴェルガは触れない方がいいか迷ったが、どうしても気になったので恐る恐る尋ねてみた。
「うん?それは私にも分からないんだよ?」
ミリィはあっさりと答える。
「はあ…!?どういうことだ?」
気まずい空気になるかもしれない、と思っていたヴェルガはあまりにも肩透かしな答えに声が上ずってしまった。
「私は記憶喪失なんだよ」
さらっとそう言うと、
「1ヶ月位前からかな?ノーリ=ネルクロフで倒れてたところをとある人に助けられたんだけどね、目を覚ました時にはもう記憶がなくなってたんだよ。それでその時にはすでに帝国兵に追われてたからこっちに逃げてきた、ってわけだね」
と笑顔で説明した。
「じゃあ、自分がどんな罪を犯したのかも覚えてないのかよ!?」
「うん、そういうことになるね♪」
ミリィはまるで他人事のように笑った。
「笑い事じゃないだろ!?それじゃ自分がなんで追われてるか分からないじゃねーか!」
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