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「ホントにありがとう!少しの間だったけど楽しかったよ!」
ミリィは最後に振り返って無邪気な笑顔で大きく手を振る。
「お、おう!じゃあまたな!」
別れの挨拶を告げ、人込みに消えていくミリィに、ヴェルガも反射的に手を振ってその背中を見送った。
"じゃあまたな"って何言ってんだ俺は。もう会うことはないだろ。
「本っ当、変なヤツだったよなぁ…」
ヴェルガは人込みの中、誰に言うわけでもなく一人で呟いた。
ほんとに何だったんだろう?
いつもの朝練で出会った小さな少女は、帝国兵から追われる犯罪者で、おまけに人間離れした才能を持っていて、でもとても素直に感情表現をする純粋な娘で……
「やべっ!こんなことしてたら学校に遅刻しちまう!」
ヴェルガは学校があることを思い出し、登校の準備をするために寮へと足を早めた。
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