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少年時代
1983年 春 京都
正人は中学に入学した。
小学校と違い、学ランを着ることや詰襟の窮屈さに新鮮さを感じていた。
小学校の頃から明るく人気者だった正人にとって新しい友人、部活、授業などの中学生活を考えると、まさに「期待に胸膨らむ」であった。
入学後まもなく部活動を決める時がきた。
正人はテニス部に入部する事を決めていた。
テニスが大好きという訳ではなかった。
ただ単純に小学校でテニス部に入部していたからであった。
だからといってスポーツに関心が無かったのではなかった。本当は好きなスポーツがあった。
正人はアメリカンフットボールが大好きだった。
メディアでの露出が少なかった当時としては全く珍しい少年であった。
大好きのあまりにアメリカンフットボール部のある兵庫県の私学を受験するために、嫌いな塾にも通い自ら進んで猛勉強していた程だった。
無論、裕福でもない正人の家庭に中学から私学に通わせる余裕など全くなく、それは私の興味を利用して勉強させようという、親の策略にまんまと乗せられていたのである。そうした事もあり正人はまずまず成績優秀であった。
そんな両親が息子に運動部での部活動を許すはずがなかった。
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