無償の思いやり

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私の家族は無事だった。 自宅に帰るや否や、私は兵庫県西宮市に行く準備を始めた。 兵庫県西宮市は甲子園球場や白鹿酒造の酒蔵があることで有名であるが、その西宮市も震災の影響を受けた街の一つである。 そしてその街で私は大学生の四年間を過ごした。 部活の連中は大半が中学部からエスカレータ式に上がってきた奴らばかりだったので、沢山の仲間がその街に暮らしていた。 「早く向かわねば。」 部活で防具を入れるのに使っていた一番大きな鞄に、出来るだけ沢山のペットボトルの水、ガスコンロ&ボンベ、食糧そして数枚のジャージを詰め込み始めた。 「あんたなにしてんのん?」 「西宮に行ってくるわ」 「あほかっ!電車動いとらへんし、第一危ないやんか。何しにいくん?!」 「原チャリで行くし」 「橋とか壊れとるんやで!」 「大丈夫や。ほな行ってくるわぁ。多分2~3日帰らんし。」 「2~3日って?あんたいつも女の子んとこ行っとってほとんど家におらんやない。笑。気ぃつけてな!無茶せんようにね」 正人は原チャリに乗り、西宮を目指した。 「二時間もあれば着くやろ。…。正人は気になっていた。なんで彼女ん家いってたんバレとんねん。。。ほんま嘘見破るんうまいわぁ。オカン」
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