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「れんじの…ばか。」
目頭に溢れるくらいの涙を溜めながら、少女は森の中に走り去っていった。
「まてよ…まてってば。」
『れんじ』と呼ばれた少年が必死に後を追うが、既に少女は森の奥深くに走り去った後だった―――。
「ちぇ…かえってこれなくてもしらないからな。」
そう叫ぶと、少年は森を背に向けてその場に座りこんでしまった・・・。
「れんじなんて…だいっきらい。」
頬を伝う涙を拭い、半ばヤケになりながらそう呟く少女の前に、『ポッ』と小さく白い光が一粒降ってきた。
「きれい…ゆきみたい!!」
少女がソレを手に取ったその瞬間―――ソレは『フワリ』と少女の小さな手から抜け出し、少女の回りを数回飛び回ると…「着いてきて。」と言っているかのように少女の前をゆっくり飛び回った。
「あ!!まって…。」
少女は慌ててソレを追い掛けていくと、やがて広い場所に出た。
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