世の無情

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"二酸化炭素を 石灰水の入った試験管の中に入れたら 白濁した" 淡々と残っている記憶のカケラ 気だるい感覚 全身の力が抜けそう 汚した箇所をさっさと拭う 生理現象みたいな 唐突に駆られる衝動 何でこんなに強いんだろうな 無性に煙草が吸いたくなる 本当、昔から男の"終わった"後の象徴だと 自分がなってみて思う 結局俺も男として生きてんだなぁって 下劣にはなりたくない どうせいつかは誰もが経験する事 自慢してもしょうがない 人数だとか 聞いてても意味がない 『病気移ってんじゃねーのかよ』と言ってやりたくなる まぁその辺の素人の女捕まえる方が 統計的に安く済むもんなんだ イベント事に色々ねだられても 月の時以外は 好きな時にタダで出来る 風俗はプロだというメリットはあっても 1時間で2万という単位を何回も払うのは億劫だ それよりは 適当でも女を見つけた方がいいに決まってる …理論的には 『嘘…こんな…』 リフレインする母親の台詞 ある日 普通に過ごしてて 普通に帰った高校時代の俺を待ってたのは 泣きながら俺の部屋にへたり込む母の姿 掃除機が立掛けてある机の引き出しが 空いていた 俺はそこにゴムを入れてたから もうお手上げ 息子にもプライバシーってもんがあると思うが 母が泣いてたのに呆気に取られてしまった まだ精神的、年齢的に大人でなくても 体だけはそうもいかない それにコレは 必需品だ まさか相手の女に孕ます訳にもいかないし それから母は 一切子供扱いをしなくなった 『相手の子をちゃんと気遣ってあげて 絶対に辛い思いさせちゃダメよ』 そう、言われた。 多分あの人の事だ、すぐに割り切れたんだろう だが、申し訳ない思いはなかなか取れなかったのを未だに覚えている あの頃は 女は恋に恋こがれて 喪失の競争ゲーム 男は性欲処理という 野蛮な行為の連発ゲーム 教室内で元彼、元カノ増殖中 そんな環境だった 今思うと本当に下らなくてバカげている そして皆本気だったのが面白いな 女はまだ体が未熟で生理不順になりやすいのを忘れて 『妊娠したかも』とよく言った 検索薬も何回も買えばバカにならないのに
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