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「ちょ……レトルトって」    斗馬は言いながら戸棚の一つを開けた。中にはスナック菓子が大量に入っていた。その中をかき分けると、他に一つレトルトカレーの箱が入っていた。   「一人前しかねぇし! しかも賞味期限過ぎてるし!」   「あ、ご飯も炊いてなかったわ。とりあえず何か買ってきてちょうだい」    母親はそう言うと財布から千円札を一枚斗馬に渡すと、ニコニコと笑い、追い出すように手を振った。   「外寒いっーの。ラーメンとかないのかよ」   「せっかくのスープに合わないでしょ! ほらせっさと行く! ついでにお父さんのつまみになるもの買ってきてちょうだい」    母親はそう言って財布から五百円玉を一つ出して斗馬に渡した。   「あ、一週間分程確保できるように小袋に入ってるナッツ系のやつね!」   「かわいそうにオヤジ、一週間のつまみ五百円分だってよ……」    斗馬は手に握らされた五百円玉を見つめてため息をついた。
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