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家に帰り、ベッドの上にカバンを放り出して制服を着替える。Tシャツに部活で使っていたジャージ。
日課のチヅの散歩を終えて帰る頃には母親が用意していた夕食がもうできていた。
専業主婦だけあって、妙なこだわりを持たなければ家族の時間に合わせてご飯を用意できるようだ。
ほうれん草のおひたしを口につっこまれて複雑そうな表情の斗馬に、母親は大きな声で笑った。
「いいバカ息子で母さん嬉しい。そりゃその髪の色で父さんとはもめたけど」
テーブルにつきながら斗馬は「そりゃどーもすみません」と小さく謝った。
「で、彼女はまだですかー」
ちょうど味噌汁を口にしていた斗馬は吹き出しかけたのを無理やり飲み込んでむせた。
「近所の伊藤さんが美人な女子高生とイケメンな外人さんと歩いてたの見たって言うから」
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