呪い其の十

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「お前と過ごした一週間はとても楽しいものだった。いくら感謝しても足りないくらいだ」 「こちらこそ。俺のお節介に付き合ってくれて本当にありがとう」 ゆっくりではあるが確実に、沙里奈の体は削られていく。 「最後に一つ、約束してくれるか?」 「金に関することなら無理だ」 「馬鹿言え」 沙里奈は続ける。 「もし、また会うことが出来たら、私に色々なものを見せてほしい。 私が生きている間に見られなかったものを。 私が生きていたら見られたであろうものを。 ずっと、お前の傍で」 「一つ、条件がある」 「条件?」 「あぁ」 俺は、もう首から上だけとなった沙里奈の頭に手を置いた。 「いい女になれよ。なってなかったら、今の話は無しだからな」 「……分かった」 沙里奈の目には、もう涙は無かった。 「ありがとう。悠二――」 一陣の風が吹く。 沙里奈は、 最高の笑顔を残して、 俺の前から消えた。
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