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「なるほどねぇ。結局呪いはなかった訳か」
谷口はうんうん頷いている。
「あぁ。確かに怖いビデオではあったがな。何にもなかった」
「やっぱり偽物だったかぁー」
谷口はゴロンと床に寝転んだ。
「やっぱりって、心当たりあるのか?」
「ん?そもそもオークションに出てる時点で怪しいだろ?」
こいつ……。
グーで殴ってもいいよな?
沙里奈と別れてから三日後の今日、俺は谷口宅に報告に訪れていた。
なんで三日後かというと、恥ずかしい話だが、ショックが大きかったんだよ。
谷口はまさか俺が本当に見てるとは思ってなかったらしく、本気で驚いていた。
昼飯奢れって言ったらカップ麺なんか出してきやがって。
「当社比1.5倍だぜ?」って嬉しくねぇよ馬鹿野郎っ!!
「俺さ、そろそろオカルト関係から手を引こうと思ってるんだ」
ほほぅ。
そんな言葉が聞けるとは思わなかった。
こいつもやっとまっとうな人生を歩む気に――
「今度はUMAの調査をしようと思ってるんだ。ウマじゃねぇぞ。ユーマだ」
……なってないな。うん。
「UMAって言うとあれか。未確認生命体」
「そうそう!」
オカルトとあまり変わらないじゃないか……。
「いいよなぁ、未確認生命体。男のロマンって感じじゃんか!ツチノコにネッシー、雪男にビッグフット、チュパカブラに美輪〇宏!」
いや、最後のは確実に違う。
「捕まえたらお前に見せてやるよ!楽しみにしとけ!」
「……帰る」
ダメだ。
こいつに付き合ってると頭が痛くなってくる。
熱弁をふるっている谷口をよそに、俺は家を出た。
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