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姉である雫は、小さい頃は俺にとって憧れだった。
「竜っ!男なんだから強くなんなっ!!」
それが雫の口癖で、その度半泣きで頷く俺にニカッと笑ってくれる。
何をするのも勝ち気な性格の雫に振り回されながらも、後ろをついて歩くのが好きだった。
だけど、
歳を重ねるごとに俺は雫の背を追い越し、雫に守ってもらうだけの弟から卒業することになる。
小学生の時はがき大将みたいだったのに、中学、高校になるにつれ、雫は女になっていた。
「あれ、お前の姉ちゃん?めちゃ可愛いじゃん。いいな~。」
友達にそう言われる度にムカついていた。
…よくねぇよ。
ただの弟なら嬉しく思うのだろう。
けど、
俺にとって雫の弟という立場は、好きな女に何もできない苦痛でしかなかった。
そんなある日。
雫に好きな人が出来たんだ。
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