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だけど今日
偶然にあの子にもう一度
会うことができた。
この一週間と少しの間がとても長かったなぁと思う。
でもまさか、あの電車が何車線も通るあの大きな駅で
会うことができるなんて、思いもしなかった。
俺は見つけると直ぐに走って、あの子と同じ車両の同じドアから電車に乗ったんだ。
目の前にいることが信じられないのに対し
俺の心臓はこの車両にいるみんなに聞こえているんではないかと言う位高鳴っていた。
でも、これからどうしよう。
俺はここから50分くらいで地元の駅に着く。
けれどあの子もそんなに長く乗っているとは限らない。
どうしよう。
悩んでも電車は走る。
止まってはくれない。
いきなり話しかけても相手は応じてくれるか分からないし、俺だって今でさえ胸の鼓動がなりやまないのに
そんな勇気があるはずない。
俺は考えたあげく野球日誌を切り破り、アドレスを書くことにした。
俺は字が綺麗な方ではない。
どちらかと言えば汚い方だろう。
だけどあの子に少しでも好印象を与えたくて、一生懸命に、電車の揺れにイライラしながら書いた。
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