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ガタン…ゴトン…
8月の半ば
高橋美咲はいつもの電車で家に帰っている。
今中学3年生の美咲は受験勉強に追われる日々。
朝早くから
近くの進学塾へ行き
昼から電車で45分の街まで
ダンスを習いに行くのが
日課だった。
受験生だけど
小5の時からダンスを習っていて
受験生だからと言ってやめてはなかった。
踊っている時は何もかも忘れられ
それが唯一の自分の居場所である気がしていた。
『あっ!あの人カッコィィ☆』
斜め前に座っていた
坊主の人に見とれてしまった。
そう
美咲は友達からヲタクと呼ばれるくらい
大の野球好きで
制服に野球バックを持ち頭が坊主だったら
誰でも8割増でカッコよく見えてしまう
ちょっと変な女だった。
今まで付き合って来た人も
半分以上が球児。
『やっぱ高校生は中学生みたいなガキんちょと違ってデカイなあ☆』
美咲は痩せた男が大嫌いで
ガタイがいい人がタイプだった。
でも毎日往復電車に乗っていると
部活帰りの球児なんかをよく見ていたので
その時はただたんに
『カッコィィ』
くらいにしか思っていなかった。
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