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声にならない悲鳴をあげる。
「何なん、うっさあ。どぉしたん?」
妹が心配…いや、違う。
変態でも見るような目つきで、少し体を後退りさせながら問いかける。
美咲の妹は目が大きく、まつげも人より多く長い。そして少し濃いめの眉に赤く染まった唇。人形みたいな顔をしている。
一度だけ[デートだから]と化粧を頼まれたことがあったが
これまで化粧が似合わないと思ったことはない。
私には絶対必要なラインもマスカラも、妹の顔には汚すための一つの道具でしかなかった。
薄づきのシャドーに
透明のグロスがピッタリだった。
最近は目をがっちりラインで囲んだ濃いめメイクが主流で、私もそれ系統。
妹からしたら、それをして欲しかったらしく、不機嫌になったけど
私は絶対にしなかった。
やっぱり可愛い妹には、1番可愛く似合う化粧をしてあげたかったから。
それを言うと普通なら喜んでくれるだろうが、この子は違う。
「あんたブスやもんねぇ。」
そう、これが妹の正体。
可愛い顔してズバッと物申す。
しかも私より妹の方が可愛いなんて、妹は当然のように理解している。
そんなズバッと言う妹に話して、自分に利益があるとは全く思えない。
「ごめん汗〃ちょっと携帯のゲームに夢中になっちょったんよ。」
「ふーん。」
妹は彼氏か別の男(コイツはいつも2、3人相手している。私なんて1人もいないのに!畜生!!)にメールしているのか、私の話はそっちのけで自分の携帯に噛りついた。
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