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「昨夜は本当にすみませんでした…。あの、寒かった…ですよね?」
熱っぽい顔でコートを着込んだ漲を気まずそうに見てシバは言った
「いやいや…、2人が幸せそうでゴホッ、よかったですよ…」
「ミナギ、それは質問の答えになっていないのではないか…っくしゅ!」
「「申し訳ありませんでした……」」
昨日の夜、あのまま抱き合った形で眠りについてしまったアルメリアとシバ、そして部屋の隅で体育座りのまま寝た3人。
ミナギとリズは風邪をひいてしまったらしい
「…っていうか何でグレイとナギは元気なんだよ」
「実は俺ちゃんあのあとベッドに入ったからね!」
「うわ、ズルっ……」
「暗殺者たるもの日々の健康管理はしっかりしないとね!任務中にくしゃみとかしてたら締まらないっしょ?」
「…体裁から入るものではないと思うが…、まぁかなりダサいな」
どこから出したのかアルメリアからティッシュを差し出され鼻をかむリズ
「グレイが暗殺者やってた頃、俺がお前の髪の毛ザックリ切り落としてやったらいきなり『俺ちゃんの髪がーー』とか叫んでたもんなぁ……
そういやあん時も雰囲気ぶち壊しだったな…」
まともな回は無いのかよ、と裏事情に片足を入れる漲。
「まぁ何にせよ、アルメリアとシバが分かりあったっぽくて良かった良かった!!」
「色々とありがとうございました。えと、風邪薬です…。早く、良くなってくださいね」
「どもね!あと、2人の事は気にしなくて大丈夫さ!見た目どおり図太くて頑丈だから」
「貴様!女性に図太くて頑丈だなどと言うでは、っくしゅ!!」
「あんまデカい声を出すなっつの…。あ、ティッシュください」
場の流れを静める者のいないグタグタな見送りが終わり、3人はようやく家に帰ることが出来る
―――と思っていたのだが…
「あ、車……」
「そういえばネジの一本にまで分解されたんだったね…」
「そうか。当初の目的は材料を買いに来たのだったな」
なるほど、と手をポンと叩くリズ
「……、最後までぐたぐたかよ……」
結局こうやって終わるのだった。
END.
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