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「おれたちにだって家族はいる。この孤児院にいるみんなが、ラルにとっての、おれたちにとっての"家族"なんだ!
血がつながってなきゃ家族になれないのか?違うだろ?
誰がなんて言ってもおれたちは家族だ。
一緒にくらしてきた、大切な大切な家族だ!だからラル、もう1人でさみしがるなよ。
さみしかったらおれに言え、そんなの忘れるくらい笑わせてやるから!」
孤児の誰かがそう言った。
その言葉を聞いた時、ラルは泣いた。
涙が枯れるんじゃないかという程に泣き腫らした。
"家族"はこんなに温かい。
"血"ではない、"思い"で繋がった大切な大切な、かけがえの無い家族。
どんなことがあろうとも決して切れない、強い絆。
皆で支え合い、助け合う幸せな日々にラルはいつしか本当の家族のことなどどうでもよくなっていった。
こんな日々が永遠に続けばいい、幸せに囲まれたラルは、いつしかそう願うようになっていった――――――――――――………
「フェムト様ですね?」
――平和な日々は、あっけなく終わりを告げる
その一言はラルがラルでなくなるきっかけ………
本当に"きっかけ"というのは突然やってくる。
悪魔が運ぶのか
天使が運ぶのか
それは誰にも分からない。
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