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数ヶ月後、男は今までのように女に囲まれる生活を送っていた
そんなとき、風のうわさであの少女の事を聞いた
「病にかかったらしい」
そして、こう続く
「一人の男に恋をして、その男を慕う女達から数々の暴行を受けていた、と。
時にはその女の策略で、知らない男に犯されたこともあり、そこから病気にかかってしまったらしい」
と。
女は元々、母親の血の影響で体が強くはなかった
それでも一人で喫茶店を続け、町の人々にぬくもりを与えてきた
男はそれを聞きつけ、少女の喫茶店へと足を向けた
そこには、閉店の二文字があった
男は周囲の人々から少女の所在を聞いた
だが、どうしても明確な場所を聞くことが出来なかった
男は途方にくれながらあの時のことを思い出していた
あの時服の間から見えた赤黒い痣は、自分を取り巻く女たちから受けた暴行の後だったのだと
普段から長いスカートを吐き、夏の日も露出の少ない格好をしていたのも、それらを隠すためのものだったのだと
そんな辛い現状をも隠し、自分の素直な気持ちも隠し、少女はただ詰まらなそうな表情を張り付けて男と会話をしていたのだ
それだけが、彼女の****だったから。
男は後悔した
少女を玩具のように扱っていた自分を。人の気持ちをゲームのように思っていた自分を
そして、「あの少女が自分に好意を寄せていた」と女性たちに面白おかしく告げて笑い合っていた自分を
あの少女は最後の最後まで本当の事を告げなかった。
自分に好意を寄せている
それだけを告げ、去って行った。
それからどれだけ辛い事があったのかは知るよしもない
ただ、風の噂だけが彼女を知る手段だった
男はそれから女遊びを止めた
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