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「人間、そろそろ笑い過ぎだぞ!」
「もう何で笑ってたのか忘れたんじゃないの?」
「バカのように笑う自分を想像してまた笑ってるんだな!愉快の連鎖だ!」
他の2匹も「愉快の連鎖だ!」と声を上げ、それーい!と踊り出す
ようやく感情が落ち着いてきたのか、笑い過ぎて上がった息を整える葉樹
「お!馬鹿が正気に戻ったぞ!」
「バカだけど魔力がとっても美味しい人間が正気に戻ったよ!」
「良い人間は馬鹿に限るっ!」
「あはは!ホント、君たち面白いね…。さっきまで泣いてたはずなのに…今は楽しすぎて泣けてくるよ」
潤んだ瞳を右手で擦り、葉樹は3匹を見た
「人間はなんで泣いてたんだ?」
「どうしてそんな美味しいんだ?」
「どうしてそんなにバカなんだ?」
くるくると回りながら魔物たちは尋ねた
葉樹は一度立ち上がってから気崩れた服を直して座りなおす
「……僕ね、役立たずなんだって」
「役立たず?」
「役立たずって?」
「そんなに美味いのにか?」
美味しいって…、と葉樹は苦笑する
「…僕、魔法が使えないんだ…。魔力はあるし、魔法の知識もあるんだけど…
でもその魔力が使えないんだ」
そう言って軽く瞳を伏せる
だが先程思いっきり泣いて、思いっきり笑ったせいか、随分気持は落ち着いている
「こんなに美味しいのに?」
「魔法が使えないのか?」
「魔力垂れ流しのくせにか?」
「垂れ流し?」
葉樹は尋ねる
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