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「なんだ、ボクらのこと気にしてるのか?」
「気にしなくて大丈夫だよ!ボクらはずーっとここに居るんだから!」
「ちゃんと契約したもんね、あとで家の中に乗り込んでやる!だからソイツと家に戻っていいぞ!」
3匹がどうやって家の中に乗り込むか、なんて会議を始める
「…いいの?」
「良いに決まってるさ!」
「??お前どっち向いて喋ってんだ?俺はこっちだぞ?」
「え、あ!ご、ごめ――……?」
樹の言葉にとっさに謝ろうとするが、そこでふと葉樹の中に疑問が生じた
「……お兄ちゃん…これ、見えないの?」
「?どれ?」
不思議そうに首を傾ける樹の様子から、どうやらこの魔物の姿は自分にしか見えないんだな、と理解する
「コレとは何だコレとは!失礼なやつだ!」
「でも美味しいから許す!」
「ついでに声とかも聞こえないんだぜい!」
成程、と3匹の言葉に葉樹は納得する。
これが普通の人と魔物使いとの違いなのだろう
「……何かよく分かんないけど…葉樹お前霊感あるんだな!俺何にも見えないから羨ましいよ」
「え、そういう…訳じゃ……」
「良いって良いって、人間誰しも得手不得手があるんだから謙遜する必要なんて無いよ。
だから、魔法が苦手なことだって気にしなくて良いんだからな?
大体うちの家族はその辺の頭がカタすぎるんだから…むしろその考え方を直すべきなんだ。
お前は魔法が苦手な分頭は良いし運動神経も良い。何より優しいやつだ。無理やり神代家の型にはまろうとしなくたって良いんだから。」
な?と最後は言い聞かせるように小首を傾げる。
「お兄ちゃん………」
「――――てなわけで、後で俺の話を幽霊に伝えてくれよ!俺幽霊と会話すんの夢だったんだよ!」
「お、お兄ちゃん…?」
突然コロりと変わる兄の様子に、一瞬涙目になってしまった自分の涙腺が一気に戻るのを感じた。
神代 樹、15歳。
清く正しく美しくを地で行く神代家次期党首。
ただし、若干性格に難有り。
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