14、12の続編

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「水(すい)!あれを消して!!」 もう策を考えるだけの時間も無い。 視線の先で、ようやく正気に戻った了が何か慌てた様に騒いでいたが、それを聞いていられる程の余裕は無かった 葉樹の言葉に、青い魔物が声を上げる 『おまかせあれ!【水龍招来】!』 途端、葉樹の目の前に楯状にとぐろを巻いた水の龍が現れた 炎と水、互いに対を成す2匹の龍が衝突し、教室一帯は熱を帯びた水蒸気で覆われる 「おい!!大丈夫か!?」 両腕を前に出した状態の葉樹が腕を下ろす すると、焦った表情の了がこちらに駆け寄り、心配そうに見ていた 「わ、悪い!!つい…いつものくせで…」 『どんな癖だこのちんちくりんめ!』 触れた事に気付くことは無いが、赤い魔物が了に向かってタックルを食らわした。しかし通り抜けるのでダメージは無い。 「俺…なんていうか一度本気になると周りが見えなくなるらしくて…ほんと、悪かった…」 『ボクが止めなかったらどーなってたと思ってるのさ!このちんちくりんめ!』 青い魔物がトルネードアタックと叫びながら頭突きをかます。しかしやはり通り抜けるので、そのまま壁に衝突する。 「……ほんと…、ごめん…」 『ちんちくりーん、ちんちくりーん!ちんちくりんったらちんちくりーん!べろべろばー!』 先人の知恵を借りた黄色い魔物は大きく腹を膨らませて耳元で叫ぶ。 「……っ……」 本人は本気で謝っているのだが、途中に入り込む魔物たちのせいで気が散って仕方がない。 当然この野次は葉樹にしか聞こえないので、聞こえないふりをして対応しなければいけないのだが… 「ぷっ!あはは!」 …無理だった。
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