14、12の続編

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後に続いて3匹が「ちんちくりーん!ちんちくりーん!」と言い続けているので、了の謝辞は葉樹の頭に入ってこなかった。 その姿をぽかんと見るクラスの一同は「あまりの恐怖に頭がおかしくなったのか」と危惧したが たった一人、了だけは今なお笑い転げている葉樹につられて笑いだした 「ぶはっ!何でおまえが笑うんだよ!!頭イカれてんのか!」 「あははっ、だって…!ちんちく…っちんちくりんって…!!」 「なんだそりゃ?!変なやつ!」 自分が笑い転げる姿を想像して、それにまた笑い転げる。 笑いが笑いを呼んで、気づけば3匹に会った"あの時"のように笑いが止まらなくなっていた それは了も同じようだ ぽかんと見ていたクラスの人達からも小さく笑いがこぼれてくる。 学校に来て早々に死ぬような思いをしたにも関わらず、当事者である二人がいきなり笑いだしたのだ。見ている人達も何が何だか分からなくなり、周囲につられて笑いだす 『また笑いの連鎖だね!』 『また笑いの連鎖だな!』 『よーきは"笑い病"か何かの保菌者か?感染率がとてつもなく高い類の』 『そうかもね!』 『確実にそれだな!』 でも良い病気だ!と声を揃えて教室の上空をくるくると回る3匹の魔物達。 葉樹の魔力によって属性を得て、種族という"形"を得た今の魔物達は、自分たちの意思で葉樹以外の人間の目に自分たちを映すことが出来るのだが、それをすると葉樹が困るだろう、と昔からずっとこの状態を続けていた。 例外がいるとすれば、葉樹の兄、樹だけ。 今となっては神代家時期当主としての引き継ぎなどもあってなかなか会えなくなってしまったが、彼だけは葉樹の事情も魔物達の事もちゃんと理解していた。 だからこそ、今までどれだけ辛い目に会おうとも歪むことなく今まで生きてこられたという事に葉樹は心の片隅で感謝した。 新学期早々大変な朝だったが、葉樹は今幸せだった。 ―――ちなみに 彼らのクラス担任が教室に向かう途中、廊下にまで響く笑い声を聞いていたことは言うまでも無い。 そして、それが自分の担当するクラスだったことに驚き、事態の鎮静化を図ろうと慌てふためいていたことも言うまでも無い。 …そんな担任の姿に3匹の魔物達が腹を抱えて笑い転げていたことも、言うまでも無い。
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