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彼(?)らの足元を見ると、せっかく干してふかふかになっていた布団が見るも無残にぺしゃんこになっていた。
物干竿から取り込んだ時にはお日様の匂いがしてとてもふかふかとしていたのだが、楽しみにしていただけにその失望感も大きなものだった。
しかし魔物達はそんなこといちいち気にするはずもなかった。
『よーきなんだって?』
『それよーきの手紙なんでしょ?よーき何だって?』
『イツキがいなくてせーせーしてますとかって書いてあるのか?よーき何て書いたんだ?』
「ん?葉樹は今夜お前らが居なくて静かな夜が過ごせますっていだだだだだだだ!!!!引っ張るな、頼むから髪の毛だけは引っ張るな!嘘だから、嘘だからごめんて!!抜ける!!」
『まったく、下手な嘘はつくもんじゃないんだぞ』
『よーきは美味い魔力持ってるんだからそんなこと言わないんだからね』
『美味い魔力のおかげでボクらはこんなにリッパになれたんだからな!』
布団に崩れ落ちた樹の上で3匹の魔物達は頷き合う。
「お、ま、え、ら、はぁぁああ!!」
『うっひゃぁあ!!』
ぴくぴくと痙攣しながらもどうにか腕を持ち上げた樹はそのまま、頭の上に乗っていた黄色い猫の首根っこを掴むと持てる力を総動員して放り投げた。
驚いたようではあるが、その悲鳴はとても楽しそうだ。
『雷(ライ)!』
『イツキ!お前なんてことするんだ!雷がカワイソウだと思わないのか!虐待って言うんだぞ!』
「すっごく楽しそうな顏して言う言葉じゃないだろ?!つか部屋を荒らされたあげく踏み潰されてた俺は可哀想じゃないのか!?それこそ虐待って言うんだぞ!」
息を荒げて猛抗議する様をケラケラと笑いながら見つめる2匹の魔物達。
その後から放り投げられた1匹も平然と加わって「全くイツキは楽しい奴だ」などと嬉々とした声を漏らしている。
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