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『それはもちろん』
『お前がムリしないように監督して、人間らしい時間に寝かせるためだ!』
『どうだまいったか!』
まいったかー!と声を揃え樹の周囲をぐるぐると回る。
その言葉に樹は驚いたように目を見開き何か言おうとしたのだが、何を口にしていいか迷い、パクパクと半開きの口が動くだけだった。
ようやく出てきたのは
「・・・な、なんで?」
もっとも無難な一言。
『そりゃ決まってるだろ。イツキがトーシュになってからよーきは心配してばっかりだ』
『いつもいつも「ちゃんと寝てるのかなぁ」とか「無理してないかな」とか「ご飯食べてるかな」とか』
『だからボクらでテーサツに来てやったんだぞ!今日はすぐ仕事終わらせてすぐに寝ること!』
分かったか!と揃えて樹の頭をバシバシ叩く。
割と容赦無い平手打ちに思わず防御態勢に入るも、その言葉の意味を理解した樹の表情には思わず笑みがこぼれた。
「ったくお前等は・・・優しい奴らだ」
『当たり前だとも!よーきの魔力で成長してるんだからな!』
『よーきの魔力の半分以上は優しさで出来てるんだぞ!』
『含有量はバファ●ンをも越えるっ!』
「ほんと、葉樹は愛されてるな」
『もっちろん!つまりはボクらもよーき大好きってこと』
『ブラコンとそう違わないね。ブラザーじゃないけど』
『ご主人だからマスコン?それともお友達ってことでフレコン?』
『おいおいそりゃゴロが悪いじゃないか』
『じゃぁ羽生やしたトカゲ、お前は何か案があるのか?』
『ないね!』
『お前ちょっと潰れてろ』
『あびゃ!!』
ピターン!と涼しい音を立てて赤い魔物が畳に叩きつけられた。
鼻の頭をこすりながら起きあがると、顔には畳のあとはくっきりと赤く付いていた。
青い魔物が笑いを堪えること無く笑いだし、何処からともなく鏡を取り出すと赤い魔物を映す。
『タタミの跡だぁぁああい!!』
『いいな、いいな!!』
赤い魔物は自分の顔を見ると同時に喜びのあまり飛び上がり、やっぱり3匹そろって樹の周りを旋回する。
叩きつけた張本人(?)である黄色い魔物もちゃっかり一緒に混ざっていたり…。
「・・・・・・、変な奴ら」
訳の分からない展開に付いていけない樹はただただそう漏らすことしかできなかった。
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