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「―――……、んっ…」
「あ、起きた?」
ずっと閉じていたせいでぼやけている視界に、女子の制服が写った。誰だろう、でも、この声は確か…
「………。あか、さ?」
「ピンポーン!正~解!」
目がようやく慣れてくると、そこには確かにクラスメイトである紅茶の姿があった。中学の頃からテニス部で太陽に焼かれ若干脱色された自然の茶髪と、少し焼けた肌色が印象的だ。
女の子といえば常に日焼け対策をしてて太陽を敵視してるイメージがあるけど、逆に紅茶みたいに諦め…潔い方が、僕みたいな奴でも気を使わずに話せるし、嫌いではない。
勿論そんなこと本人に言える訳が無いけど、目の前で思ってしまったことに少しばかり後ろめたくなって紅茶の様子を伺ってみた。
そういえば彼女は何故ここにいるんだろう…
「ん?どしたの?あ、そうそうこれ。2時間目の世界史で出されたプリント。」
ドサッ、と質量のある音がした。
「で、あと3、4時間目の化学でやった実習のプリントと、結果レポートの提出用用紙10枚。それから実習をサボった由希だけの特別課題の問題集。化学の提出日は明後日までね」
「え、え?ちょ、ま…」
訳が分からない。あまりにも訳が分からなくて話に着いていけないというのに、素知らぬ顔で紅茶は机に紙束を積み上げていく。
「お昼休みまでに提出だった数学のプリントが未提出だったから追加でプリント2枚。5、6時間目の数学で新しい章に入ったから明日までに教科書を読んでくるように。あとは問題集230ページの問題13,14,15と、231ページの章まとめテスト全部、それから--」
「まって、待って!さすがに覚え切れない!待って!」
「新しい章に入って232ページのーー…って、どしたの?」
どうしたの?って…そんなキョトンとした顔で聞かないでよ!
「どうしたもこうしたも!なにその量?!」
「何って……明日までの宿題?」
「宿題?じゃなく――って明日?!多いよ!短いよ!」
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