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「だって、これ全部授業中にやった部分だもん。2時間目からずっと寝てた由希が悪いんじゃない?」
「うっ…」
明らかに理不尽な量なはずなのに言い返すことができない。
「ちなみに、私の宿題は数学の問題集236ページの問題6だけだよ。でも由希はこれ」
机の上に積み上がった山のようなプリントと問題集を指さす。まるで漫画の1コマのようだ。もう諦めるしか無いんだろう。
「・・・。はぁ…」
「まぁ…ドンマイ。にしても今日もよく寝たね。寝不足なの?」
「いや、そういう訳じゃ無いんだけど…」
「寝不足じゃないのにそんなに寝られるもの?前から気になってたけど由希普通じゃないよ…、耳元で叫んでみても叩いても起きないし、顔に落書きしても何の反応もしないし…」
「そ、それは……、え?落書き?」
「うん、ほら」
手鏡に写ったそれは、日本人だと言っても信じてもらえない程真っ黒に塗りつぶされていた僕だった。そこには全く容赦というものが見受けられない。
何だこれは、目の回りもギリギリまで真っ黒じゃないか。下手したらペン先が眼球に突き刺さっていたかもしれなーーーいや、やめておこう。考えたら凄まじい寒気が…恐ろしや女子の指先…。
恐怖から視線が下に下がる。見れば椅子の下には使用済みのマッキーが2本転がっていた。
「……。」
…マッキー(油性)?
「うわぁぁああああ!!!何これ!何これ?!酷いよ、酷すぎるよ!!」
トイレ、トイレって何処だったっけ!油性ペンてどうやったら落ちるの?!ちくしょう、紅茶の奴、覚えてろよ!!
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