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それから数ヶ月後
ラグは相変わらずの忙しい日々を送っていた。
賞金額の良い魔導大会や、ギルドからの高ランクの依頼を断って
「魔族だ!魔族の襲撃だ!!」
この日の夜、突如魔族の大群が村に押し寄せてきた
村はあっという間に血や炎で赤く染まり、多くの人々が為す術も無くやられていった
警備をしていた首都の兵士や村の魔法使い達が魔族と戦い、1人を殺し一人が死ぬといった戦いを繰り広げていた
そんな中、ラグは1人でそれを眺めていた
死ぬわけにはいかないんだという気持ちと、死にたくないという恐怖が彼をこの場に留めていた
それを見たリタはラグの元へと駆け寄った
「ラグ、アンタ何してるのよ!!」
「…リタ…」
「村のみんなや兵士さん達が戦ってるのよ?!大会で優勝したクセに何1人で縮こまってるのよ!」
リタはラグの腕を引っ張った
「……、リタ、僕は戦えない…」
リタに引きずられながら弱々しい口調でそう呟いた。
それを聞いて怒りを覚えたリタはラグに怒鳴りつけた
「何が戦えないのよ!!アンタが魔法の天才だってことは村の誰だって知ってるのよ!剣も、体術も、他の人よりも凄い才能を持ってるじゃない!!
あんな魔族、アンタの魔法があれば倒せるんでしょ?!何弱気になってるの!!」
「…………、出来ないよ…」
なおも弱気なラグにリタは激怒した
「弱虫!!村が壊されたら子供達はどうなるの?!村の人はどうなるの?!
今をどうにかしないと皆の未来は消えちゃうんだよ!これから待ってる幸せだって全部全部消えちゃうんだよ!!
それを守るために皆命を掛けて村を守ってるんだ!一番力を持ってるラグが頑張らなくてどうするのよ!!
もういい!アンタがそんな弱虫だなんて知らなかったわ!」
怒りと悲しみを織り交ぜた口調でリタは怒鳴り散らす。
そして村を守るため、リタはラグに背を向け走り去っていった
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