3、No title【シリアス/短篇】

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リタは兵士や魔法使い達と共に魔族に対抗していた 一番頼りにしていた筈のラグがあんな状態なのだから、自分が子供達を守らなければ、リタはラグへの怒りを燃やしていた 「ラグの弱虫!あんな奴魔族に捕まって死んじゃえばいいのよ!!」 躍起になってラグへの暴言を吐きながら、その怒りで増幅された魔力を魔族たちに放つ こちらも、あちらも数は減ってきた。 仲の良い友達や、優しくしてくれた町の人たちが次々に傷つき死んでゆく。 そんな現状を知りながらも何もしようとしないラグが許せなかった ずっと一緒に暮らしてきたのに ずっと信頼できると思っていたのに 魔力は感情の影響を受けやすい。 生の感情にも負の感情にも影響され、それに比例して威力が増す リタの魔法にはラグへの怒りが込められていた しかしリタは気付かなかった、リタの魔法の直撃を受けた魔族に…… 魔族は突然笑い出し、リタに向かって口を開いた 「フフ…、貴様随分と怨みを抱えているようだな」 「なっ…?!魔法は確かに当たったハズ…!!」 「…………、何だ貴様、怨みに影響された魔法は我々魔族にとって癒し以外の何物でも無いのだぞ?知らなかったのか?」 「えっ…!」 平然と話す魔族に言葉が出ないリタ 「随分と濃度の高い魔法だったから身体の調子が良い。礼を言うぞ」 魔族は片手をリタに向ける 「さぁ、貴様も死ね」 「――――っ!!」 魔族の手から禍々しい魔力が放出される リタは自分の死を覚悟した ―――しかし、予想する攻撃は来なかった
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