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――夜の街、闇を恐れる人間が作り出したまやかしの光が満ち溢れ、人々が行き交う街。
そんな人間たちの中に紛れる一人の少年、カイ。
襟足を伸ばした黒髪に平均よりも高い背丈、服の上からも分かる程よくついた筋肉。誰から見ても彼は綺麗な顔立ちだと分かる。
カイは一人、人込みから外れた道の方へと足を進め、誰も居ない神社の前で足を止めた
「出てこいよ。ちゃんと"視えて"んぞ」
不適な笑みを浮かべて虚空に向かって語り掛けるカイ。
すると蜃気楼のように空間が歪み始める。
一般人には見えないが、そこには何かがいるようだ
「闇に魅入られた人間の魂でも狩る気だったんだろうが……、生憎と俺は"違う"んでな。
――――消えろ」
瞬間、歪んだ空間に横一線の切れ目が出来た。
徐々に歪みが消え去り、残ったのは静かな闇の沈黙のみ
これが少年、カイの"仕事"なのだ。
闇に魅入られた人間を襲う"魔の物"を浄化し、この世界の均衡を保つこと。
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