5、月の王【現代学園ファンタジー/魔物/時忘れ原案2】

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――某国 遺跡の最深部 「………不思議な場所ね……。外側から調べてもこんな穴どこにも無かったのに……」 遥か昔の人間たちが作ったとされる遺跡の最深部には不思議な空間があった。 他と変わらない石造りの部屋なのだが、部屋の中央には何かの儀式に使われていそうな石で出来た椅子のような台があり、その椅子のある場所に月の光が差し込むようにと天井にぽっかりと穴が開いている。 恐らくはこの遺跡の主がそこに座り、月の光を浴びていたのだろうと予測できる。 だが不思議なことに、天井に穴が開いているはずなのに部屋とイスには雨に晒されたような汚れやカビ、苔が一切なく、さらに遺跡の外側をどんな最新機器を用いて調べもそれらしい穴の存在は見つからなかったのだ。 部屋に足を踏み入れた考古学者風の女は頭にハテナを浮かべながら部屋を見渡す 「……月が特定の位置に来た時だけ、あの穴から月の光が王座を照らす………か。遺跡の座標とこの部屋の位置からして…、やっぱりこの遺跡は"あの"儀式を行うための場所だったのね」 予想は確かだった、と口角を上げて微笑む女性、御坂かなみに隣にいた男が話し掛ける 「御坂、ここが本当に『あの』儀式を行なう『月明かりの間』だとしたら俺たちは………」 「何ビビってんのよ石倉!いくら『月明かりの間』だったとしてもここはもうただの遺跡。何も恐がることなんて無いわよ」 ふふん、と不適に笑う御坂はそう言いながら王座に腰掛けて足を組む
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