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「ここを発表すれば私たちは一躍有名になれるわ!そしたら今までの世界の常識は覆されて『魔法』が世界に認められる学問へと変わる。私たち"隠者"が低能な人間の上に立つ未来が待ってるのよ!!」
「…………、俺は…俺達の存在を認めてもらえればそれで良いよ……。誰が上とか、そんなものは望んでない…」
「何言ってんの!石倉、アンタは私たち隠者がどんな生き方をしてきたか忘れたの?!」
御坂の怒声が石造りの空間に響き渡る。
天井に空いた穴からかすかに月明かりが漏れ御坂の整った顔を照らす。その表情は怒りと悲しみ、そして悔しさが入り交じったものだ
「………っ、私はもう怯えて隠れて暮らしたくなんてない!力の無い人間達が世界を支配して、力のある私たちが存在すら隠して暮らしてるなんておかしいもの!!私たちこそが世界を支配するのに相応しいって事を証明するのよ!」
思いを吐き出しながら訴える。
もうすぐ悲願が成就するのだという嬉しさもその叫びの中に混じり、最後には高らかに笑っていた
………しかし、それは"声"によって遮られた
《……誰ダ、貴様ラハ…。ココハモウスグ『王』ガオ生マレニナル神聖ナル場所…。汚ラワシイ俗物ガ居テ良イ場所デハナイ!消エ去レ!!》
「ぐは……っ!!」
「キャァ!!」
どこからか知らない声がした。そう思った次の瞬間、石倉と御坂の体に突如激痛が走る。
気になって見てみると風化して崩れていた遺跡の壁の岩が二人の胸に突き刺さり、そこから大量の血がぼたぼたと足元に落ちて小さな血溜まりを作っていた
それを理解した瞬間二人は背筋が冷える感覚と、胸だけでなく全身に回った激痛に動くことすら出来なくなった
「そ……、な…」
苦しくて息も出来ない御坂は先ほどまで座っていた王座から風の力で壁に突き飛ばされ、開きかけた瞳孔で王座を見る
そして、二人は糸が切れたようにその場へ倒れこみ、サラサラと粒子に姿を変えた……
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