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雲ひとつない快晴の午後、浅月夕月(あさづき ゆづき)は屋上にいた。
別に彼は不良でもないし、授業をサボっているわけでもない。
今は学校が一番騒がしくなる昼休みの時間帯なのだ。
夕月の中でエサを寄こせと虫が訴える。
本当ならば学食で日替わりランチ(天ぷらうどん定食)を食べてるはずなのになぁ、と溜息を吐きながら夕月は持っていたじゃがりこ(サラダ)で虫を静める。
ちなみに、結局これが夕月の昼食となってしまうのを彼は知らない
そもそも健康的男子の夕月が空腹を堪えてまで屋上で一人さみしく空を見つめているかというと、それは朝机の中に入っていた一枚のメモが原因だったりする
「『昼休みに屋上で』……。ったく、言われた通りに屋上に来てるってのに何で誰も来ないんだよ……。
はぁ、こんなんじゃ先に学食行っておけばよかったな…」
カリカリとじゃがりこを食べながら待つこと20分
すでにじゃがりこの空箱も4つに差し掛かった頃にようやく鉄製のドアが開いた
「…え、委員長?」
「えっ!?もしかして夕月くんずっと待ってたの?!先に食べてくるかと思……ってかじゃがりこ食べ過ぎ…」
観点は違っているものの、夕月と委員長(天音ルリ)は互いに驚きの表情になる
夕月はまさか自分を呼び出したのが同じクラスで天才と呼ばれる委員長だったとは…と。
委員長ことルリはてっきり先にお昼を食べてから来るものだと思っていたこと、そして夕月の周辺に転がる異様な量のじゃがりこの空き箱に。
「え、じゃあ委員長がこの紙書いたの?」
「そうだけど、今はそれより夕月くんの食生活に説教してもいいかな?」
「……、ちょっと勘弁してほしいかも…。っていうか人を呼び出しておいて『それより』は無いよね」
「だまらっしゃい!!じゃがりこ1箱で何カロリーあると思ってんの!?一箱300kcalよ!
今食べてる5箱目も合わせて合計1500kcalじゃない!塩分だって3,5g!いつか絶対メタボよ!!」
な、なんでじゃがりこ(サラダ)の成分表覚えてるの…?と若干引き気味の夕月。
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