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夕月が呼んだ途端にどうやって現れたのか、ここは屋上で入口はドアしか無いはずなのに何所から来たのか、そんな疑問がルリに浮かぶ。
だがしかし、あまりにも突然の出来事だったので口から出たのは途切れ途切れの言葉の羅列だけだった。
細身の男は静かにルリの方を見た後夕月の方に顔を向ける
「…どうしたんだ夕月?じゃがりこの追加は却下だぞ?」
「一言余計だって!この屋上で俺と一般生徒、んで俺が助けを呼んだんだから答えは一つだろ?」
「………、まさか…?」
余程信頼を寄せているのか、先ほどの焦りが若干抜けた声色で夕月は男に話しかける
それを聞いた月影と呼ばれた男の顔の筋肉が若干引きつる
それにこくりと頷いて肯定の意を表した夕月は月影の予想通りの言葉を口にした
「昨日の……、見られてたっぽい」
「――っ!!」
その一言に月影の表情が一転、驚きと怒りを含んだ瞳でルリを睨みつける
「ひっ……!」
「お前…、あの場にいたのか…?」
ルリに詰め寄り半ば脅すように問いただす。
それは質問というよりは尋問に近いものがあるだろう
「あそこ一帯には人払いの結界が貼ってあった。それに、もし一般人が入ってこれたとしても俺達を見れないように視覚の結界も二重に仕掛けておいた。なのにお前は見えていたというのか?」
「結界…?なに、それ……。そんなの全然、知らなかった……です…」
怯えながら答えるルリの言葉に月影は考え込む。
「………。虚言を口にしているようには見えんし…、何よりこいつはただの人間…。
人間が俺の張った結界を抜けたというのか……?」
怯えるルリを目の前にして何やら考え込む月影。
やがて自分の中で一つの答えを導き出したらしく、ニヤリと口角を上げて笑いだした
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