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視界に違和感を覚え、ルリは目を擦る
(……、月が歪んで見える…?)
目の前の景色が見えない、という訳ではないが、左右の目が物体をはっきりと捕らえるまでに間があった。
しかも少し視線を動かすとまたピントが合わない。
両目とも1.0の視力を持っているので眼鏡を掛けた人の気持ちはわからないが、もしかしたらこんな感じなのかな、と思いながらも自分に感じた異常に内心焦りを覚える
が、それはどうやら自分の視力ではなく、本当に月が歪んでいた
「おいクソアマ、俺の後ろから出るなよ」
「へっ?」
「見たんだろ?昨日のアレを…」
何を…、と聞く前に答えは出た。
歪んだ月の中心から何か黒い物体が湧き出てきたのだ。
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