5、月の王【現代学園ファンタジー/魔物/時忘れ原案2】

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「1860年代に発見されたパンダも1981年に発見されたヤンバルクイナも……、発見当時は多くの人が騒いだはず。 たった1匹、見たことも無い生き物が出ただけで人間は騒ぎ立てて、そして絶滅の危機にまで持ち込む。 そんな世界で未だ発見されていない生き物が次々に出てきたとしたら……。どうなると思う?」 「……」 確かに…、パンダもヤンバルクイナも見つかってから人間たちが捕まえたり剥製にしたりで今は絶滅の危機に瀕してる。絶滅危惧種になってからは人間が保護して、監視して、自分たちが絶滅にまで追い込んだのに数が増えれば勝手に喜ぶ。 きっとまた同じことが起きるだろうし、新生物がいた土地は『他にも新生物はいないか』って考えた人間達がくまなく探して自然を壊してしまうだろう 「…、だから、人間達が見つけたとしても騒がないようにタイミングを見計らうんだ。 なるべく『存在するのではないか』と予測させて、そのほとぼりが冷めて忘れ去った頃に発見させる。 それは四本足の動物であったり、目に見えない微生物であったり、そして僕らのような人型であったり……。 だから未発見の生き物、とくに人型は『隠者』っていうんだけど、彼等は存在を明かしてはいけないし、ひっそりと隠れて生きなければいけない。もちろん僕や月影も」 ね、と月影に同意を求める夕月にああ、と短く頷く月影
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