10人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
なんだか壮大な話に付いていけないルリだったが、一つだけ理解できたことがあった
「………、私は、夕月君たちが人間じゃないって知っちゃったよ?それに夕月くん達は隠れて生きて無いじゃない…」
「僕たちはちょっとした『特別』だからね。
それと委員長、だから君はブラックリストに載ったんだ。僕らの正体を知った『既発見者』としてね」
「主に人間なんだが…、稀に隠者を見つけてしまう奴がいるんだ。そいつ等が下手な噂を流さないように俺たちが監視する。そういう決まりだ」
「ちょっ!監視って…、私は誰にも言うつもりも無いし!それに自分から正体を明かしたんじゃない!」
あまりに身勝手すぎる。自分はただ昨日の夜の出来事を見かけただけだし、昼間に口止めしておけば何もする気は無かった。
なのに何故こんなことにならなければいけないのだろうか
「委員長、君には俺らの手伝いをしてもらいたいんだ」
「…、てつ、だい?」
「さっき見たろ?満月が近くなるとああいう化けモン共が規則を破って姿を現すことがあるんだ。
アレを元いた場所に戻すのが俺らの仕事だ。
万が一、億が一の可能性を考慮して結界を何重にも貼ってはいるんだが誰かに見られることがある。
お前みたいな奴が出るたびに事情を話したり記憶操作をしたりってのがメンドいからな、だから人間の中から一人選んで協力者にさせちまえって考えてたんだ」
「隠者の中には人間の前に現れて襲うのも居るからね。被害者の人って意外と多いんだよ……」
手伝い?あんな化け物を見てショックを受けた人を私にどうにかしろって言うの?っていうか何を手伝えばいいの?倒すなんて絶対不可能よ!と頭の中で文句に近い疑問を吐く
少々テンパったルリの肩をぽんと叩き夕月は笑顔で一言
「お願いね」
断るなんてできなかった。
もし断ったらどうなるんだろう……、そんなこと恐ろしくて考えられなかった
この日から、私の生活は右斜め下方向に微妙に歪んだ
最初のコメントを投稿しよう!