6、No title【現代異世界混合ファンタジー/超絶半端】

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キーンコーンカーンコーン…、という定番の音が鳴る。 家での出来事のせいで見事に遅刻してしまった俺は格子で塞がれた門の向こうで愉快そうに俺を見る先公を睨む 「どうしたぁ杉崎!まるで動物園の見世物サルみたいじゃないか」 「俺が必死に走ってるってのに笑いながら門閉めてた人が言うセリフじゃないですよね。」 俺からすれば門の向こうにいる先公の方が見世物のサル…、いやゴリラなんだがな、と副音声としてツッコミを入れてみる。もちろん聞こえるわけない 「2学期早々遅刻とは許しがたい行為だが…まぁお前は普段遅刻したりしないからな。特別に俺のクイズに答えられたら遅刻は勘弁してやろう」 「……………………、なんか優しい幻聴が聞こえたような…」 「遅刻にすんぞ?」 「スミマセン大先生様!」 訂正、この方は神だった 「んじゃ問題。さっきのキーンコーンカーンコーンって音の曲名を答えよ! ちなみにヒントはクラシック音楽な」 答えられたらむしろ俺様の教科(数学)の成績5にしてやるよ!なんて、明らかに『絶対答えられねぇだろ!ガッハッハ!お前は遅刻決定なんだよ!』とか頭の中で思ってそうな一言が聞こえた。 だがこのエセ神教師……読みが甘かったな。 「どうだ?答えられ…」 「ウェストミンスターの鐘」 「なっ…!」 「この曲は、その名の通りイギリスのロンドンにあるウェストミンスター宮殿…つまりはイギリスの国会議事堂に付いてる時計塔ビッグベンが鳴らす鐘の音。 ちなみにこれの原曲はヘンデルが作曲した「メサイア」のアリア。これをフランスのオルガン奏者ルイ・ヴィエルヌが編曲して今のウェストミンスターの鐘が作られた。どう?正解?」 「っ……せ、正解…だ…」 はっ!数学教師のくせに計算が甘かったな。 俺が一部で雑学王の称号を冠してるとは知らなかったようだな!このぶわかちんが!! ―――まぁ俺は無遅刻無欠席、成績もそこそこ取ってる典型的"良い子"だからそんな事口にはしないけど…。 俺は唖然としているエセ神教師をほっといて門を飛び越えた
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