10人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
「あぁ…名乗ってなかったか。俺は……、戒。青嵐学園生徒会長、兼!神の紫堂戒!よろしく!」
咄嗟に出てしまった僕の脈路の無い質問を不思議にも思わず平然と答える学生…、戒。
思いっきり「兼」の部分を強調する戒に『そこまで副業だと言い張りたいのか』と思わずツッコミを入れてしまった
「んじゃお前の番な」
「へ?」
「へ?じゃねぇよ。俺がこうして名乗ったんだからお前も言えって」
なんと…。僕にも振られてしまった…
正直病院の個室で過ごしてたから自分のことを紹介するなんてしたことが無かった。
それに僕と関わる人は大抵お医者さんで、僕よりも僕の事を知ってたから体調以外は口にすることも無かったし……
…まずい…
なんて言えばいいか全然思いつかない……!
まずは名前を言って、それから年齢と誕生日と…
「ぶっ……!」
「な、なんだよ……」
何が面白いのか、戒は突然お腹を抱えて笑いだした。
「い、いや…。なんつーかさぁ…お前、奇麗だなって…」
「お、男が奇麗だなんて言われても嬉しくないよ!!」
「いや、そーじゃなくて」
ひとしきり笑い続け、ようやく落ち着いた戒がこんな事を口にした
「自己紹介一つに真剣に悩んだり反応の一つ一つが初々しかったり…、人付き合いが少なかった分お前は純粋なんだな…ってことだよ。
相手に合わせて自分の意思を曲げてみたり、下手に冷め切って感情を殺したりするよりもずっと良い」
そう言ってぽんぽんと僕の頭に手を乗せて撫でた
「それからお前…奇麗な色の髪と瞳だしな」
「……っ…」
途端、僕の全身から嫌悪というモノが全身に流れた
"白い髪"と"赤い瞳"
この二つは僕の最大のコンプレックスだ
「ん?どした?」
全くそれに気づかない戒は平然と聞いてくる。
最初のコメントを投稿しよう!