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「えっと、あの、ごめん、なさい…だいじょう…ぶ?」
途中途切れ途切れになりながらも男の子ははっきりと口にする。
こんなに小さいのに謝るなんて偉いな…と鼻を押さえながらトオリは思った。
そして同時に、自分より年下の子供を涙目で見る中学生というのは傍目から見たら異様な光景だろうな、とも思った
「だ、大丈夫大丈夫。そんなに痛くなかったしね」
「ほ、ほんと?怒ってない…?」
「うん」
怒ってないよ、とにっこり笑って答えるトオリ。
それを聞いて安心したのか、男の子は不意に後ろを向いて、近くの木に向かってこう言った
「セリカ!お兄ちゃん怒ってないって。出てきなよ」
「へ?」
素っ頓狂な声を上げるトオリ。
すると、男の子の視線の先から顔立ちの良く似た女の子が不安げに姿を現した
背丈や顔立ちからしてこの二人は兄妹(姉弟)…、もしかしたら双子なのだろう。
トオリの予想では、恐らくボールをぶつけたのは女の子の方で、女の子の代わりに男の子が話しかけてきたのではないかと思う。
どうやらその予想は合っていたようで、女の子はおずおずとトオリの顔色を覗いながら話しかけてきた
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