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「あ、ちょっと聞きたいんだけど、二人は近くの町か村に住んでるの?」
あ、別に君たちを誘拐して身代金要求だとかそんな事はしないからね!
と付け加えるが、二人は「みのしろ?」と意味が分からず首を傾ける
「んーん、この近くには町も村もないよ?」
「あたしたちはパパと一緒にそこのお家にいるの」
そこ、と言って指差した方向を見ると、今まで気付かなかったが相当大きなお屋敷が建っていた
「古っ!でか!」
トオリは思わず声を上げる。
大きさや作りがとても立派な、まるでどこかの貴族の御屋敷のような建物が木々の中に聳えているのだ。
こんなところに住んでいるのなら、この二人の親は相当な権力者か金持ちなんじゃないか……とは、残念ながら思えない。
確かに立派な屋敷なのだが、とにかく古い。
この場合、貴族の御屋敷というよりは、数代前に没落した貴族の怨霊が住み着いてるお化け屋敷だと言った方がしっくりくるだろう。
というか、それしか思いつかない
「……えーと…、二人はこの御屋敷に住んでるの?」
「そだよ?」
「パパと3人で住んでるの!」
「パパ………」
もしやそのパパは片目がでろんと飛び出ていないかい?
本気でそう聞きたくなった。
同時に、にこにこと嬉しそうに語る二人の笑顔がどこか恐ろしく感じてしまったのは、トオリのただの妄想の賜物なのだろう
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