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「…そうか、二人が世話かけたな。
見ての通り今から夕飯だ。後で地図をやるから、とりあえず飯を運べ」
「へ?」
未だ二人に両腕を掴まれたまま、トオリは素っ頓狂な声を上げる
今、最後らへんが命令形だった気がする
どこか行動と言動が読めないこの男を、トオリは不思議そうに見る
「…深く気にするな。その二人に料理を運ばせると確実に皿をひっくり返すから手伝わせられないだけだ。
…そこの客が持ってくからお前らは大人しく座って待ってろ」
男は双子達に言い、トオリに早く運べ、冷める、と言った。目で。
「わーいお肉ー!」
「先行ってるねー!」
バタンと遠慮の無い力加減で扉が締まり、双子達は部屋から去って行った。
その後姿を唖然と眺めていると、男から声がかかる
「おい」
「はっ!はい!!」
「運べ」
「はい!」
有無を言わせない口調と独特の雰囲気に充てられ、トオリはこの人に逆らってはいけないと確信した
何がどうなってこうなったのかも忘れてしまうほど、トオリの頭の中はぐちゃぐちゃだった。
そしてトオリは気づかなかった。
トオリが来た時に料理が"完成したばかり"だったというのに、あらかじめ用意されていた皿や食器が4人分あったことに……
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