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今から6年前、私がまだ存在していなかった頃、シバには本当の妻がいました。
名前を"アルメリア"と言い、明るくて活発で、でもどこか弱々しさのある方だったと聞きます。
――えぇ、そうです。私は"彼女"の替わりに作られたんです
人形師には純粋に人形や機械が好きな方の他にも、人間との関わりを断ち切った人や、人間を信じられなくなった人が多く存在します。
幼い頃に親友を事故で亡くしてしまったシバも同じで、そんな時に出会ったアルメリアの笑顔に救われた、と言っていました。
二人は愛し合い、笑い合い、そして梅雨が終わる頃に大勢の人から祝福され結婚しました。
彼は言っていました。「アルメリアは太陽だった。この人形だらけの暗い地下室でも、彼女がいるだけで真昼のように明るく温かかった」と
ですが、彼女は明るく元気な見た目とは裏腹に身体は病に蝕まれていたのです。
ふとしたことからアルメリアは倒れ、そのまま入院。成す術も無く本当にあっさりと亡くなってしまったそうです。
そして、シバはまた絶望した
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