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親友を亡くし、今度は最愛の妻を。
よほど悲しかったことでしょう…、「自分の愛した人はみんな自分を残して死んでしまう」とも思ったでしょう。
彼は闇のように暗く冷たい地下室で何日も何日も泣き続けました
後悔し続けました
絶望し続けました
『なぜ…、何故僕の愛した人はみんな消えていってしまうんだ!?なぜ僕だけ生きているんだ!
エイダ、アルメリア、教えてくれよ………。どうして……っ!どうして君たちは死んでしまったんだ!!
……死んで……、死んでしまったんだ……?』
悲しみと絶望が蔓延した地下室には希望という光を射す窓も、それを導く彼女達もいない。
そんな日が何日も続いたある日、何を思ったのかシバは突然人形を作り続けるようになったそうです
その本当の意味は分かりませんが、事故や病気で"死んでしまう人間"と"動き続ける人形"に何かを思ったのではないでしょうか……
彼を心配して来た町の方々も、ただ一心不乱に作り続けて数十、数百もの人形に囲まれたシバに驚愕し、その手を止めようと説得を試みました。
しかし腕を掴まれ、作りかけのパーツを奪い取られたというのに彫刻刀を持つ彼の手先は空を切りながらも動き続けていたそうです。
『おいシバ!!正気に戻れ!お前が人形になっちまったみたいじゃねぇか!!』
『その手を止めろ!こんな暗い所にばっかりいるからいつまでたってもアルメリアの事に踏ん切りが付かないんだよ!』
『………離してくれ……。僕は、僕は会いたいんだ………』
頬を叩かれ、肩を前後に揺さぶられても一向に正気に戻る気配は無く、ただ「会いたい」とだけ呟く彼に町の人々は激怒しました。
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