9、改造者【一部だけ/異世界/職業】

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静寂と呼べる部屋に淡々と放すアルメリアの声だけが反響する 彼女の口から発せられる過去はあまりにも淡白なもので、恐らくは人形としての彼女がそうさせているのであろう 一通り話し終えたところでアルメリアが顔を上げ、これで終わりです、と告げる 「……じゃあ、アルメリアが"欠陥"になったのは…、インストール時にシバが口にした『愛してくれ』って一言が原因だったってことか……?」 「…はい。人形の価値を決めるインストールには本来単純明快で具体的な命令を組み込まなければいけないのです。 ですが、彼のそれまで培ってきた技術の粋を結集して創り上げた"アルメリア"は作った本人すら人形だと忘れてしまう程素晴らしい出来でした。 彼が長い時間と、今までの生活を捨て去って人形作りに没頭してきたのは全て"それ"を創り上げる為。  ですからその願いが叶った時、彼は最後の最後で気を抜いてしまったんでしょう。 そして、「愛する」という抽象的で不明確な命令が、私(アルメリア)の中に組み込まれました」 決して主観では語らず、感情の無い瞳でそう告げる 「だ、だが!シバは"人間としての"生前の妻を望んだのであろう?いくら欠陥だとしてもアルメリアはシバの望む通りになったのではないか?!奴を愛し、奴の為に一喜一憂する健気な女性。  それを一般の定義で欠陥だと決め付けてしまうのは変だ!」 「リズ!声を落とせ!」 「あ…っ!……す、スマン…。」 漲に制止され萎縮する。それでもまだ不満があるらしく、「だが…」と先程より小さな声で言葉を続ける
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