10人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
漲達がアルメリアの真実を知る少し前、すでに眠りに就いていたシバが目を覚ました
「ん……っ、アルメリア…?」
隣で寝ていたはずのアルメリアの姿はどこにもなく、シバは不思議に思う
「………、トイレにでも行ったのかな…、いや、それはないか」
今まで過ごしてきた日々があまりにも幸せすぎて忘れてしまいがちだが、アルメリアは人形なのだ。
エネルギーの充填に睡眠という機能はあるが、排泄などという行為は必要ないはずだ
「…、人形…か……」
何を思うわけでもなく呟く。
彼女が何か悩みを抱えているのはシバもなんとなく察していた。
彼女を作り上げたとき、本当に自分はどうかしていたのだ。
あんな素人でもやらない命令をインストールしてしまい、いつ彼女が壊れてしまうかも分らない
「………、あの子は…何を考えているのかな…」
感情をもった人形。
こんな異例は長年人形師として生きてきて初めてだった。
その"感情"という機能は確かに欠陥の一種なのだろうが、そんな世間の言い分なんて関係ない。
彼からすれば偶然が生んだ宝石のようなものなのだ
"自分"という感情を持ち、一緒に暮らしている"アルメリア"
"人形"として作りだされ、命令を遂行しようと行動する"アルメリア"
彼女が二つの自分の間で悩んでいることは知っている。
だからこそシバはアルメリアの連れてきた『改造者』の存在に不安を感じていた
最初のコメントを投稿しよう!