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「ほら桔梗。もうちょっとだから我慢して」
店から出、桔梗を抱えた瑠璃は桔梗の背中を軽く叩いた。
「うー…」
微かに耳元で聞こえる桔梗のうめき声。瑠璃は車へと急いだ。
車の後部座席のドアを開けると、スヤスヤ静かな寝息をたてて鏡時が眠っていた。その横に桔梗を降ろす。桔梗は既に眠っていた。
「兄ちゃ…」
寝言だろうか。呟いた後、鏡時にすりよった桔梗。瑠璃はそんな二人を見て、クスクスと笑った。
「そっくりねー。可愛い」
外見はそれなりに違えど、やはり兄弟。似た雰囲気を纏っている。
瑠璃は静かにドアを閉め運転席のドアを開けた。そして乗り込み、静かにドアを閉める。
「…おやすみ」
後ろで眠る息子たちに優しく囁き、瑠璃も眠りについた。これからの旅行が、無事にすむように願いながら──
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