1章

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休憩になった。 理奈は手際よく 部員のタオルを用意する。 ベンチに戻ってくる 彼等の一人ひとりに 声を掛けて渡す。 「はい」 最後に和輝に渡した。 「サンキュー」 「ねぇねぇ 昨日はどうして 他校のユニフォーム着てたの?」 「あー?昨日? オレ…ここ一ヶ月? ケガしてて… 昨日やっと退院したから 腕試しにダチの試合 人手不足だってから 出たんだよ」 「そっかぁ だから学校も部活も こなかったんだ!」 理奈が和輝をじっと 見つめた。 「?…何だよ」 「野球上手だね…」 「オレの…親父は……」 「ん?」 「………何でもねぇ」 言いかけた言葉を 飲み込むようにして 和輝は淋しそうに 表情を曇らせた。
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